2012年9月16日up
ジンジャーエール

夏が過ぎると福岡市・筥崎宮では秋の訪れを告げる「放生会」というお祭りが行われます。生命を慈しみ、殺生を戒める千年以上続くお祭りです。
マザーグースや小泉八雲や楳図かずおが大好きで読みあさっていた子供の頃、放生会へ行くと無性にわくわくしたものです。お宮に向かって露店が立ち並ぶ参道の真ん中辺りから右へ入ると、やぐらの上から「カンカンカンカーン」と、おどろおどろしい鐘の音と呼び声が鳴り響き、胸が高鳴りました。
「人間ポンプ」のおじさんや「たこ女」など、怪しげな見せ物小屋やお化け屋敷の看板が小さかった私を誘い、たまらなく好きな世界に吸い寄せられるようでした。 

現在も放生会の見せ物小屋は時代を越え、世代交代しながらも今も尚残り続けています。アングラ好きな若者らしき人達が、その空気感をちゃんと残して受け継いでいるようでした。看板の絵師も、あとどれくらいいるのだろう。昭和初期の貴重な文化。来年もまた会えますように。

話は飛びすぎかもですが、そんな放生会の風物詩のひとつでもある「新生姜」が今回の主役です。生姜は東南アジア原産で、日本でも昔から生薬として重宝されてきました。生姜の辛味や香りはジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロンによるもので、肉や魚の臭い消し、強い殺菌作用から抗菌、抗炎症作用、解熱、鎮痛作用があります。血行促進から体を温め、発汗作用、頭痛、風邪、鼻炎、咳、冷え、関節痛などに。胃腸を温めることから胃の働きを助け、吐き気、嘔吐に。その他がん予防、老化防止、疲労回復、ダイエット…など、さまざまな症状へと働きかけてくれます。

新生姜は秋に収穫してすぐに出荷される白色のものです。白くて茎の付け根が赤く、大きくふっくらとしたかたまりのものを撰びましょう。使いきれない分は、おろしたり千切りやみじん切りにして小分けし冷凍すると便利です。そのままの場合、焼酎に浸けておくと半年くらい長持ちするそうです。

今回は生姜のシロップのジンジャーエールのレシピをご紹介します。生薬の生姜に更に胃腸を強力に温めるシナモン、消化を助ける蜂蜜、女性ホルモンや更年期障害によい八角などのスパイスで強化し、色付けに林檎の皮でほんのりとタンジェリンオレンジ色に仕上げました。炭酸意外にもいろいろとアレンジして夏の疲れを癒してくださいね!

【今回の食材】 
ショウガ
ピリッと独特の辛さをもつショウガ。食材としてはもちろん、遥か昔から生薬としても使われるほど、健康面から見ても貴重なパワーを持っている素材です。夏が旬の新ショウガ、秋口が旬の根ショウガはよく見かけますが、早採りの葉ショウガや芽ショウガなんていうものもあるんですって。九州で言うと、熊本、宮崎がその生産量も多いそうです(実は、日本2位と4位!)。
〈材料〉
★ジンジャーエール★
*新生姜×200g
*水×2cup
*きび砂糖×1/2cup
*蜂蜜×大さじ2
*シナモンスティック×1本
*八角(スターアニス)×1ケ
*丁子(クローブ)×5ケ
*ブラックペッパー粒×10粒
*ローリエ×1枚
*ライム×汁1ケ分と皮1/3ケ分
*りんごの皮×小1ケ分(紅玉など)
*ミントの葉×3本分
 
①生姜は皮のまま薄くスライスする。ライムは1/3ほど薄く皮を削り、実は搾る。りんごは皮をむく。

②鍋にライム汁とミント以外の材料を入れ、ひと煮たちさせ、弱火で10 分煮る。
 
③火を止め、ライム汁とミントの葉を加えて蓋をし、5分ほど蒸らす。
 
④ストレーナーかざるでしっかり濾して瓶にうつして保存する。
 
⑤グラスに氷を入れ、ジンジャーシロップ3:炭酸水7の割合で注ぐ。 

~その他にも~
◇お湯で割ってほっとジンジャーに
◇ビールに加えてシャンディーガフ風に
◇アッサムかアールグレイに加えてジンジャーティーに
◇オレンジジュースやグレープフルーツジュースに加えてカクテル風に
◇ハイボールに加えてジンジャーハイボールに
…などなどアレンジをお楽しみください!




末松 奈視
食品会社の検査室に5年半勤めた後、大手アパレルメーカーが経営するカフェで働く。
2001年にプルミエカフェを開業し、2008年にプライベートキッチン プルミエとして移転。2012年クリスマスに11年半の営業を終え、現在プライベートキッチン プルミエとして、ヨーロッパ・地中海・アジアなど世界の料理をみんなで作って食べる会(プルミエの料理教室)「クッキングパーティ」を中心にレシピやケータリングや料理講師、イベント企画など活動中。
博多阪急内「ELLE CAFE 」キッチンスタッフとしても働いている。
http://s.ameblo.jp/premier-1101




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