2011年9月。九州道の駅ユーザーズクラブは、ホームページを全面リニューアルし、新たな気持ちで走り出しました。道の駅利用者による道の駅利用者のためのクラブとして…、これまで以上に盛りあがっていきたいと思います。

   リニューアルにあたって、単に表向きの見栄えを新しくするのではなくて、何かもっと仕組みからやり直すべきではと、実にかなりの時間と内容の議論を重ねました。ユーザーの皆さんにアイデアをいただいたり、国土交通省に質問に行ったり、道の駅創設当時から活躍されている駅長さんたちにお話を聞いたりと、もう一度じっくりと「道の駅」についても考え直す機会になりました。

   今回の特集。タイトルは「KMUCを振り返る」です。内輪のはなしではありますが、このたび、志も新たにということで、略称を「QMUC」へと変更することにしました。これは、関東(KMUC)、近畿(KMUC)などの他のユーザーズクラブさんとの違いを出すためというのが一番ですが、何よりも大事なのは、前段にあげた、装いも新たに…。ということですね。
 そこで、微力ではございますが、一回、しっかりとけじめをつける気持ちも込めまして、「これまでの九州の道の駅」について、あれこれと考えてみたいと思います

振り返り1
「九州道の駅ファンクラブ」という名称で、運営を始めた平成16年。平成5年(小国など)の5駅を皮切りに、年間5〜10駅程の新規加盟を増やしながら、九州の道の駅が80駅を超え、ようやく知名度もあがり始めたころだったと思います。「道の駅」という絶妙なネーミングが効果的なのか、ドライブの休憩地として、高い関心を持たれ、民間のパーキング施設との差異をおぼろげながらに抱いていた記憶があります。

 当時、一番印象的だった『事件』は、「バナナ販売事件」!?

とある利用者のおじさまから、「道の駅なのに、地元産の商品以外を置くとは何ごとだ!」と率直な、直球の意見が来たのです。今でもこういう話は、そこかしこから耳にしますが、皆さんはどうですか?なんとなく、バナナって…という気持ちありますか?

 確かに、地域の特産品を期待して来館している人にとっては、これって、とても大きな裏切りなんですよね。ましてや、地場産の果物と混ざって、市場から仕入れてきた商品があるとなると、買って帰った後で、実は別の都道府県産…。などということも、かなり頻繁にあったようです。

 それで、有りなのか無しなのか。私の個人的な見解では、「バナナは有り、だけどミカン(地元に同じ産品がある)はNG」という考えです。どういうことかというと、「地域への貢献」を生産者の視点から見ると、売れる場所が地元にできたということが喜びとなるでしょう。

 ですが、必ずしもそこで買い物をしている人は、外からの人ではない。むしろ、大きな割合が地元の人だったりするんです。地元のお客さんにとっては、おらが村にも生活の必需品が購入できる施設ができたということが、道の駅に対する一番の喜びだったりもします。極論ですが、歯ブラシだって、洗剤だって、電球だって、置いてある施設がとても大事な地域も有るんだということを、遅まきながら、道の駅の常識の一つに入れておこうと思ったのがこの頃だったと思います。
振り返り2
 「九州道の駅ユーザーズクラブ」になって、会員数も一気に増え、道の駅関係の会議にも参加させていただくようになった平成19年頃。道の駅の増加が一段落し、まったく新設されない年がありました。国土交通省もいろいろと苦難の時期に入っていたのかもしれません、「100駅で打ち止め?」などという噂も、誠しやかにささやかれていました。  当時、これもまた『事件』で振り返ることになってしまいますが、当クラブも関わって大きな問題となったのが、「チューリップ事件」!?こちらも、とある利用者のおじさまの激怒からはじまったのですが、簡単に概要を言いますと、ある道の駅が、イベントを開催するということで、全面の道路を封鎖して、車が入れないようにしてしまったということに端を発して、「ドライブする人の休憩機能を維持できない道の駅など、権利を剥奪してしまえ!」という、コチラは案内対応の不親切さも相まって、お怒りの意見が来たのです。当クラブの掲示板が、駅長さんや国土交通省の方も交えた議論の場となり、数日間はパンク寸前という状況にもなってしまいました。

 ですが、そんな状況に有りながらも、道の駅や私たち(クレームを出した方は内の会員でもありました)は、意外な程に毅然と問題をとらえ対応できたというのが印象です。その時は必死であまり考えもしませんでしたが、実は当時、大きく効き目があったのは、平成16年にはじまっていた「道の駅向上会議」だったと思います。これは各県の部会に分かれて、道の駅が持つ様々な課題に取り組んでいるもので、「迷惑駐車」や「サービスマナー」など、自分の駅の利益を度外視した、「より良い道の駅」への議論が交わされていたんです。もちろん、休憩機能や駐車場利用にも理解が深まっていたので、ある意味、利用者からのこういう意見にも「もっともだ」という反応ができたんだろうと思います。封鎖する道路の先に「道の駅の出張所」ということで、臨時の情報提供とトイレ施設を置いて、現在でもこのイベントは続けられています。

 また、その頃には、九州の道の駅ならではの特徴として、駅長同士の交流が、親密になっていました。同じ旗を掲げる仲間として、さまざまな交流が深まり、知らないこと・分からないことは、確認しあい教えあって、いっそう深めていく空気ができてきました。「酒を飲んで、一緒に温泉につかると、やっと始めて本音がでてくるもんだ」とは、ある駅長さんのお言葉です。
振り返り3
ココ数年、テレビやラジオ、情報誌などなど。道の駅に関する情報は、聞かない日がない程に頻繁になってきています。知名度で言えば、私たちが始めた当時の数十倍にも膨らんでいるのではないかと感じます。それはもちろん喜ばしいことですが、道の駅を見続けてきたユーザーさんや駅長さんにお話を聞いていくと、「どうも最近、なんか違うんじゃない?」とおっしゃる方が、かなり多いのも事実です。

 その「なんか」とは…!?
 僕らの感触も交えていうと、道の駅というよりも「物産館」。というよりむしろ「スーパー」っていう風潮が、強まりすぎているのではないかと思います。地域をまったく顧みない…という程ではないのですが、なんだか行きたくなる程の楽しみがない。そんな、薄味の道の駅が増えているような気がしています。

 道の駅の設立目的は、「地域とともにつくる、個性豊かなにぎわいの場」。「休憩」「情報発信」「地域連携」という3つの機能を充実させることが、その基本だとうたわれています。これからも道の駅を素敵な場所として続けていくには、その3つの基本を忠実に果たすことが、大事になってくるだろうと思います。

 振り返りながら、これからの道の駅を考えてみた今回の特集。一つ確実にいえることは、道の駅をこれまで以上に発展させるためには、ユーザーの皆さんの「楽しみながらの協力」が必要だということです。厳しく、そして優しく。道の駅を利用していきましょう。

 今回リニューアルによって、ユーザーの皆さんのご意見を積極的にいただくコーナーをたくさん用意しています。もちろん、厳しいご意見も有るかと思いますが、私たちは、それを真摯に受け止め、ユーザーの代表として、九州道の駅ユーザーズクラブという名前に恥ない事務局を目指します。
 ぜひ、新しくなった九州道の駅ユーザーズクラブ=QMUCをよろしくおねがいいたします。絶賛、会員募集中です!